村木は「疑われるのはもう嫌だ!」と、いきなり手首を切ったという。幸い傷は浅く一命を取り留めるが、病院に迎えに来た村木の妻・順子(山下容莉枝)は、そんな夫をいきなり殴り飛ばす。「死ねるもんなら死んでみなさいよ!」と罵声を浴びせる順子。村木は土下座をしながら絶対服従の体。すると順子は嘘のように優しく手を差し伸べ、事故で足を不自由にしたという村木を伴い病院を後にするのだった。夫妻の尋常ではない関係に唖然とする一同。その中にあって右京だけは、2人に鋭い視線を向け続けている。そして、順子の耳たぶが変形しているのを目撃するのだった。
その後、右京は村木を診ているという精神科医・内田美咲(奥貫薫)は美咲から、“支配と隷属”というコミュニケーション方法があると聞かされる。さらに美咲は今回の犯人像について、大人しくまじめなタイプの男性、出張や転勤の多い仕事に就き、その先々で殺人を繰り返している可能性が高いとプロファイリングする。また、自分だけに分かる共通点を残しているとも。それがピアスを持ち去ることだとすると、そこには“征服”という意味が込められるという。
ピアスにはその昔、悪霊が耳孔から入り込むのを防ぐ意味合いがあった。それを外すことで人は、相手に暴行を加えることなく支配気分を味わえるという。もし村木が犯人で、持ち去ったピアスを妻に渡していたとすると、日ごろの“支配と隷属”関係の逆転を、村木は観念的に味わうことができたのではないか…? |