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2009年6月19日

半数が非正規雇用…日本をしのぐ韓国の惨状

半数が非正規雇用…日本をしのぐ韓国の惨状

去年の金融危機以降、日本で非正規労働者の雇い止めなどが相次ぐ中、全労働者の半数以上が非正規雇用だという韓国でも社会問題化している。特に非正規雇用に追いやられた若者の多くは「88万ウォン世代」と呼ばれている。88万ウォン(約6万7000円)は、青年層の非正規労働者の平均月給にあたる。『88万ウォン世代』の著者で、延世大学・文化人類学科の禹ル熏(ウッ・ソックン)教授は「88万ウォン程度なら、ソウル市内で家賃を払い、通勤し、昼食を食べたら何も残らない。結婚して家庭を築くのは不可能」と話す。

韓国では、ここ数年、韓国版ネットカフェ「考試院(コシウォン)」と呼ばれる読書室が急増している。本来は宿泊施設ではないが、事実上、最も安く暮らせる場所だ。現在、ソウル市内には6000軒以上ある。
集会で非正規雇用撤廃を訴える徐世冽(ソ・セヨル)さんは、3月に雇い止めされ、失業中。今は考試院に住んでいる。部屋の広さは畳2畳ほどで、ベッドは寝返りが打てないほど狭い。しかし家賃は30万ウォン(約2万3000円)と格安だ。徐さんは、節約のため極力外出を控え、一日の大半はインターネットで職を探している。徐さんは、IT技術の専門学校卒業後、一度も正社員になれず、7回転職。33歳の今、仕事を見つけるのが年々厳しくなってきたと感じている。「非正規雇用の立場だと、結婚とか将来とか正直不安。安定した職を得て考試院から出たい」と除さんは話す。

1997年、韓国はアジア通貨危機と呼ばれる大恐慌に直面。政府は労働者派遣法を導入し、それまで禁じてきた人材派遣を認めた。その後、韓国は非正規雇用が急増していく。禹ル熏教授は「深刻なのは、どこまで非正規雇用が広がるか誰にもわからないこと。現在の勢いなら、今後、すべての雇用の60%から70%まで非正規雇用になる可能性が十分にある」と警鐘を鳴らす。

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