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2009年7月27日

官製ワーキングプア〜急増する“非正規公務員”

官製ワーキングプア〜急増する“非正規公務員”

民間企業の非正規雇用が社会的な問題となっているが、公務員の世界でも「職員の非正規」が進んでいる。小泉内閣時代の『骨太の方針2006』により、公務員の人件費削減が進み、非正規公務員が急増。非正規公務員は、何年働いても昇給がなく、いつ解雇されるか分からない。“官製ワーキングプア”と呼ばれる状況だという。

香川県高松市の公立保育所で0歳児を担当する小野坂美佐さん(30)は、地方公務員の保育士になって5年になる。小野坂さんの勤める保育所には、正規保育士が10人、非正規の保育士が11人いる。小野坂さんは非正規の一人だ。週5日、フルタイムで働いているが、月収は手取りで16万円。非正規のため残業代やボーナスも支給されず、年収は約200万円と、正規保育士に比べ、3分の1だ。正規保育士と遜色のない仕事をしているが、給与が上がらない。身分上は地方公務員にも関わらず、ワーキングプア状態だ。小野坂さんは、一人息子の怜穏くん(4)を女手ひとつで育てている。これからの息子の教育費などを考えると、子供と関わる仕事を続けたいが、転職することも頭をよぎるという。

全国的に10年前から非正規保育士が増え、高松市でも63.4%の保育士が非正規となっている。高松市では交通費などが支給され、他の自治体よりも待遇改善が進んでいるが、それでも厳しい状況だ。さらに働ける期間は1年ごとで、毎年更新されるとは限らない。また、保育士だけでなく、市役所でも職員の非正規化は進んでいる。高松市では、全職員のうち3割が非正規。特に福祉関係や市民課などの業務に多いという。非正規職員が急増しているのは、全国各地の自治体でも同じだ。東京の国分寺市やあきる野市など、自治体によっては非正規が正規職員を上回るところも出てきた。

総務省の調査によると、非常勤や臨時職員など非正規公務員が国内で約50万人に迫っている。しかし、仕事の総量が減るわけではなく、むしろ公共サービスは多様化し、低賃金で雇える非正規職員は、なくてはならない存在とされている。自治体によっては、非正規職員の給与を人件費ではなく、物件費として計上しているため、表面上は人件費が増えない“からくり”にもなっている。この結果、全国的に非正規の地方公務員が急増。

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